決算書の見方




決算書の中の、損益計算書の読み方について。
通常、以下のようになっている。

売上 1000(+)
期首棚卸 150
仕入 400(-)
期末棚卸 100
売上原価 450(-)
売上総利益 550
販売費・一般管理費 400(-)
営業利益 150
受取利息 5(+)
支払利息 20(-)
経常利益 135
固定資産売却損 200(-)
税引前当期純利益 △ 65

まず、あなたは何を知りたい?
通常は、儲かっているかどうかだと思う。
つまり、結果を知りたいはずである。
ゆえに、一番下の税引前利益を確認する。

ここで赤字の場合、がっかりするのはちょっと早い。
なぜなら、今回たまたま赤字がでたのかもしれない。
そんな偶然を排除した通常の場合の利益が経常利益である。

その上の営業利益と経常利益、どう違うのか。
通常は、ほとんど金額に誤差がないのであるが、
あまりにも差がひどい場合は、問題である。
というのも、銀行に100万円預けても、0.2%くらいの利子しかもらえないが、
銀行から借りる場合は、2%くらいの利息を支払う必要がある。
ちょっと借入しすぎじゃないのかな?
資金繰り大丈夫かな?
という情報を読み取らなければならない。
*一般的には、営業利益は本業のもうけ、経常利益は投資や借入などの財務活動を含めた利益のことである。

ところで、上に書いた損益計算書の例は一般的なものなのだが、この書式が物事を分かりにくくしている原因の一つなのだ。
というのも、通常上から下に流れていく、という常識がある。
しかし、本当のところは、順番が正しくない。
以下のように書き換える。
(割愛して、売上総利益までとする)

期首棚卸 150
仕入 400(-)
売上 1000(+)
期末棚卸 100
売上総利益 550

これは、何をやっているのかというと、まず仕入という投資からスタートする。
前回売れ残っていた商品があった。
今回投資して、やっと1000売上げることができた。
結果、売れ残った商品は、次回へ繰り越しました。
ということなのである。

一般的に、損益計算書というものは、たとえば4月1日~3月31日、を一つの期間として区切っている。
つまり、4月、5月、6月・・・3月、なのだ。
でも、目にする数字は、3月時点なので時間の流れが全く見えないのである。
収入(売上)から経費(売上原価ほか)を引いて、これだけ儲かった!
なんていうことがわかっても、それには何の意味もないのである。

損益計算書は、実は経営者の思考が反映されているのである。
本業に力を入れていれば、仕入れが増える。
しかし、思ったよりも売れなければ期末棚卸が増える。
かといって、金融資産に投資をし始めたところ、失敗すれば経常利益が真っ赤になる。
お金がないから、車でも売って、資金を作る。
(もしくは、古くなったので買換えしただけかもしれない)
数字を読み解くには、その背景を想像しなければならない。
しかし、現実に存在している決算書では、実はそれが難しい。
一般に、決算書を比較する場合は、3年分見比べるのだが、単に数字の大小、赤字黒字を読み取るよりも、経営者がどういう方向に進もうとしているのか、そういったことを、数字から読み取る能力を手に入れるべきである。
そして、その能力を得るには、読みにくい決算書を読み解きやすく修正する必要があるのだ。

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